ウリ専

新宿二丁目ウリセン物語

新宿二丁目ウリセン物語

ウリ専!♂が♂にカラダを売る仕事

ウリ専!♂が♂にカラダを売る仕事

 男が男に体を売る、という仕事。それが良いことなのか悪いことなのかよくわかりません。お金を払って性的快楽を得る、ということは同じといえば同じですが、出会いの限られたゲイにとっての「ウリ専」は、ノンケ(異性愛者)向け風俗とは異なった事情がたくさんあります。
 一般社会では、ゲイがノンケに比べ性的に乱れていて、手当たり次第に男と寝るというような誤解があります。一部にはそういうゲイもいますが、全体がそうだということはありません。また、ハッテン場と呼ばれる、ゲイがセックスの相手をみつけるための施設があることは事実ですが、皆が皆そこを利用するわけでもなく、そこに出かけていってももてない人はもてないようです。また、そういうところでもてない人が、ウリ専で男を買うのかというと、必ずしもそういうわけでもないようです。一般社会ではノンケのようにふるまっているゲイが、密かにセックスを買うという需要もあるようです。
 そんなわけで、ゲイのほとんどは、「ウリ専」の存在を知ってはいても、詳しい事情を知っているとは限りません。僕も、ウリ専の世界についてはあまり知らなかったのですが、これらの本によってある程度の事情を知ることができました。
 とりあげた本のうち、「新宿二丁目ウリセン物語」は、著者がボーイよりかなり年長であり、本文中に何度も出てくるような「保護者的視線」もあるせいか、どうも全体的やたら上から見た物言いが多いようです。そのせいで、少し鼻につくところもありましたが、バーでボーイを指名するという、古いタイプのウリ専の事情について詳しいです。「ウリ専!」の著者はノンケの若い方のようです。よく取材した上で、ボーイを同じ高さの視線で見つめたような文章が綴られていて、読後感は前者に比べてすっきりしていました。