赤裸々

 ごぶさたしております。海外数ヶ国で4年ほど働いた後、なんやかんやで今はまた一時的に日本におります。
 僕がゲイであることの自覚をきちんと整理することができたのは、二十代後半とかなり遅かったのですが、そのきっかけの一つとして

ボクの彼氏はどこにいる? (講談社文庫)

ボクの彼氏はどこにいる? (講談社文庫)

この本との出会いがありました。誇張されたものではない、等身大の一人のゲイの姿が綴られており、そうした存在が自分以外にもいるということを教えてくれた、とても貴重な経験でした。
 さて、最近、文春オンラインの特集を通じて
bunshun.jp
僕が夫に出会うまで

僕が夫に出会うまで

この本に出会いました。本書には実に赤裸々に幼少期からの出来事が綴られており、社会からの無自覚な攻撃や、同性の友達に抱いてしまった恋への葛藤など、自分にも思い当たるような経験に一つ一つ強い共感を感じるものでした。もしかすると善意からかも知れないけれど、「多数派」の常識に引っ張られすぎるあまり、それがかえってより残酷な攻撃となっていることってとても多くて、今でこそ躱す方法も覚えたけれど、僕自身もかつて相当に思い悩んだものです。本にも綴られているような、まだ世界の狭い時期に、家庭とか学校とか逃げ場のないところでのそういった出来事は心に影を落とすことになります。少なくとも教育や医療の現場にいる人達にはこの世の中が「多数派」だけで構成されているわけではないということをもっと想像してもらいたいと思っています。